千代田区には区の中央に皇居があり、区全体の約15%を皇居の緑地が占めています。
自賠法二条四項では、「運転者」とは、他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者とされています。
本件では、補助作業者が自賠法二条四項の運転の補助者に該当するか否かが争われました。
(事例)Aは、自己が運転するトラックに積載していた鋼管杭(い)の荷下ろし作業中に、鋼管杭に玉掛けを行いました。
ところが、Bがクレーン車を運転して、その鋼管杭を吊上げたところ、鋼管杭が落下し、Aの身体に当たり、Aは死亡しました。
(判決)原審判決は、クレーンを利用した重量物の荷下ろしは、玉掛けを含め件業月の協働件業であり、有資格者であるAが、Bの指示を受けtAの判断と技能に基づいて玉掛け作業を行い、クレーン車の装置を使用した荷下ろし作業の1部を分担したのである。
したがって、Aは、クレーン車の運転補助者であるから、自賠法三条の「他人」には該当しないと判断しました。
しかし、本判例は、・トラックの運転者Aは、Bの行う荷下ろし作業について、指示や監視をすべき立場になかったことはもちろん、作業を手伝う義務も負っていなかった。
・鋼管杭が落下した原因は、クレーン車の運転者であるBの判断により、鋼管杭を吊り上げるのに不適切なワイヤーロープを使用したこと等にあり、Aの補助作業が原因となっているものではない。
こうしたことから、Aは、クレーン車の運転補助者ではないため、自賠法三条における「他人」に含まれると判断しました。
(解説)本判決は、運転補助者の定義や判断基準を示したものではあまりせんが、自賠法三条の他人性を否定される運転補助者の範囲を、具体的な事実から検討して限定したものです。
近時の判例は、自賠法による被害者救済の範囲を拡大する傾向にあり、本判決も近時の判例の流れに沿ったものといえます。
共同で起こした事故で自爆責からの補填分は差し引けない甲乙が共同して起こした一つの交通事故において、過失相殺により乙の賠償額が甲の賠償額より減額されている場合、甲が損害の一部を賠償したとしても、乙の賠償すべき額は、甲の賠償額が過失相殺額を超えた場合にのみ減額される(最高裁・平成一一年1月二九日判決)(事案)乙は片側二車線の道路の第一車線を乙車を運転して走行中、後方を走行する車両の安全や車線変更の合図義務を怠ったまま、第二車線に進入した。
そのため、第二車線走行中の甲運転の甲車は乙草との衝突を回避すべ急ハンドルを切り、甲者は中央線を越えて対向車線を走行してきた自動車と正面衝突した。
この事故により、甲車の助手席に同乗していたAが死亡した。
Aの損害額は六〇四〇万四五九二円であり、甲の賠償額も同額である。
しかしながら、甲とAは親子であり、甲には前方不注視と制限速度超過の過失があったため、被害者側の過失の法理により、乙の賠償すべき額は四〇%の過失相殺がなされ、三六二四万二七五五円に減額された。
これに対し、甲は甲車について締結されていた自賠責保険から三〇〇〇万円を賠償した。
その後、Aの遺族が乙に対し、六〇四〇万四五九二万円から三〇〇〇万円を控除した額を請求したのに対し、乙が過失相殺後の三六二四万二七五五円から三〇〇〇万円を控除し、その残額しか支払義務がないとして争った事案である。
(判決)原審は乙の主張を入れ、乙の賠償額は乙の過失相殺後の自賠責保険から支払われた額を控除した残額のみ支払えばよい、としたのに対し、本判決は、「甲がした填補の額はAが填補を受けるべき損害額から控除すべきであって、控除後の残損害額を下回ることにならない限り、乙が賠償すべき損害額に影響しないものと解するのが相当である」と判断し、Aの遺族の主張を入れ、原審を破棄した。
(解説)仮に乙の主張を入れた場合、甲が無資力であるようなケースでは、結局、被害者は損害全額の賠償を受けることができないことになる。
本判決はこのような不都合を回避し、被害者の保護に配慮したもの違法駐車に損書籍償違法駐車が原因で起きた事故に対する損害賠償請求を認める判決が出されました。
事故は平成八年一〇月七日深夜に起き、男性がバイクで県道を走行中、駐車していたダンプに追突して転倒、頭部などを強く打って死亡したというものです。
この事故で、遺族が、事故の原因はダンプの違法駐車が原因として、損害賠償を求め提訴しました。
この裁判で、千葉地方裁判所は、「現場の危険性を熟知しながら車(ダンプ)を放置した」として、違法駐車の運転手の過失を六五%と認定し、二七三〇万円の損害賠償の支払いを命じる判決を言渡しました。
なお、この事件は、現在へ控訴されています。
運害賠償責任者に問する、判例自賠法三条本文は、保有者その他「自己のために自動車を運行の用に供する者」(以下単に運行供用者といいます)がへその運行によって、他人の生命または身体を害したときに損害賠償責任を負う、と規定しています。
この運行供用者責任をめぐって、被用者の無断運転、私用運転、あるいは泥棒運転、家族の運転などによって事故が起きた場合に、果たして運行供用者責任があるのか、ないのか比較的多くの判例があります。
蔚運転手である被用者の無断私用運転◎無断運転によるものにせよ、客観的、外形的には所有者のためにする運行と認められるから運行供用者責任がある(最高裁・昭和三九年二月77日判決)(事案)甲協同組合に雇われている運転手乙は、終業後、きまりに従って組合の車を車庫に入れ、キーをいったん宿直員に返しました。
ところが私用で乗車する予定の列車の時刻に遅れそうになったため、キーを無断で持ち出して乗車駅まで運転し、知人方に預けて翌日その事を運転して帰る途中、歩行者を死亡させる事故を起こしました。
甲組合に運行供用者責任があるか否か争われたものです。
甲組合は、運行供用者とは、抽象的二般的に卓を自己のための運行の用に供している地位にあるものをいうのではなくて、事故発生の原因となった運行が自己のためになされている者をいう、と主張して責任を否認しました。
(判決)本判例は、控訴審の判断を正当である、と支持したものですが、引用した控訴審は、・たとえ事故を生じた当該運行行為が、具体的には第三者の無断運転による場合であっても、自動車の所有者と第三者との間に雇用関係等密接な関係があり、かつ日常の自動車の運転および管理状況からして、客観的、外形的には自動車所有者のためにする運行と認められるときは、右自動車の所有者は「自己のために自動車を運行の用に供する者」というべ、自賠法三条による損害賠償責任を免れない。
と一般論を展開したあと、・甲組合と乙との雇用関係、日常の自動車の使用ないし管理状況(就業時間外に、上司に無断で使用することを禁止していたものの、キーの管理は必ずしも厳格でなく、時間外の無断運転の例もまれではなかった、と認定されています)等によれば、事故当時の自動車の運行は、乙の無断運転によるものにせよ、客観的、外形的には甲組合のためにする運行と認めるのが相当である。
として甲組合に賠償責任を認めました。
この被害者保護に手厚くなる考え方は、以後の運行供用者責任の有無の判断に大きな影響を与えました。
龍ダンプカー持込み被用者の無断私用運転◎作業は構内に限るとの制限があっても、客観的外形的には使用者のためにする運行にあたる(最高裁・昭和四六年四月六日判決)めにする運行と理解するのが相当であって、乙の作業が採取場構内に限定されていたことは、単なる内部事情に過ぎないから、右の判断に影響を及ぼさない。
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